Ian Bostridge (英 Tenor)
イアン・ボストリッジ

哲学と歴史の博士号を持つイギリスのテノール。そのデリケートな美声と、斬新な表現力で世界から注目され、秀才であり、細い体型で多くのファンを持つ。
ドイツ語はあまり上手くない(レガート過ぎる)が、ニュアンスの付け方は異様に上手く、既に数々の作品で名唱を残している。特にシューベルトのデリケートな作品は彼にあっている。基本的にドイツ・リートの演奏の歴史の外側にいるので、自由で奔放な解釈で新しいリートを聴かせてくれる。
特にその知的で表現力豊かな歌い回しはヘンツェから曲を委嘱されるなど多くの作曲家にも注目されている。
オックスフォードどケンブリッジ大学で哲学と歴史を学び、1990年に博士号を取得。専門は中世ヨーロッパの魔術師でこの分野でも若手の権威として知られている。卒業後は研究員としてオックスフォード大学に残ったが、1991年イギリスの音楽協会連合主催のエッソ・ヤング・アーティスト賞受賞を契機に音楽活動に専念する事に。彼は音大には行かず、大学の礼拝堂での音楽活動もしていなかった。学内でドイツ歌曲のリサイタルを開いたりもしたが声楽に付いてはほとんど独学である。ハイ・スクール時代、音楽の授業で聴いたフィッシャー=ディースカウの歌うシューベルトの「魔王」に魅了されたと言っている。
94年パーセル・ルームでの「冬の旅」でリサイタル・デビュー。あっという間にイギリスで人気が爆発し、あらゆる音楽祭で彼のリサイタルのチケットは売り切れとなり、ロンドンの音楽の殿堂ウィグモア・ホールでは95年の初リサイタル以来即日完売が続いている。
本場ドイツを初めヨーロッパ、アメリカ、そして日本でも多くの聴衆を魅了し続けている。
歌曲だけでなくオラトリオ(特にバッハ)、オペラでも注目され、数々の音楽祭に出演している。もちろんブリテン・テノールしても最高の歌手として認められている。
コンサートではステージ中を自在に動き、視覚的にも物語を演じる能力を持っている。
2000年にはウィーンのシューベルト・ピアニスト内田 光子とコンビを組み、世界中をアッ!と言わせた。内田 光子は彼の事を「『水車小屋』を歌う為に生まれてきたような歌手」と述べている。2001年シューベルティアーデで「冬の旅」を共演。
2001年日本で初リサイタル、J・ドレイクとのコンビで「冬の旅」「詩人の恋」などを演奏絶賛を博した。


主な録音:
シューベルト「美しき水車小屋の娘」(G・ジョンソン)「歌曲集」T〜U(J・ドレイク)
シューマン「詩人の恋、リーダークライス-24、ハイネ歌曲」(J・ドレイク)
バッハ「カンタータとアリア」F・ビオンディ
ヤナーチェク「消えた男の日記」(T・アデス)