Dietrich Fischer-Dieskau (独 Bariton 1925〜)
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ

20世紀最高の声楽家。レガートを基本としながら言葉のメリハリを活かしてニュアンス付けしていくその歌は、彼の前後での「歌唱」の概念を変えてしまった。特にバッハ演奏は至高の極みであり、またヨーロッパの一地方の文化に過ぎなかった「リート」を世界的芸術にまで高め、膨大な録音を残した。
1925年5月28日、ドイツのツェーレンドルフで生まれ、ベルリン音楽院時代の1943年、初めて公の場所で「冬の旅」を歌う。第2時世界大戦後イタリアで2年間の捕虜生活の後、1947年ドイツに戻るとルール地方のミュールハイムでブラームスの「ドイツ・レクイエム」を歌いデビュー。続いてバーデン地方のコンスタンツに招かれ「マタイ受難曲」を歌い、絶賛される。
その後RIAS放送局で「冬の旅」を歌い、ドイツでの地位を確固たるものにするとヨーロッパ演奏旅行の後、ベルリン市立歌劇場と契約。
1950年にはザルツブルク音楽祭でウィーン・フィルハーモニーの伴奏、フルトヴェングラーの指揮で「さすらう若人の歌」を歌い、この指揮者をして「マーラーの音楽への改宗をもたらした」と言わしめる。
1992年引退。ベルリン音大などでリートのマスター・クラスを持ち、現在までにアンドレアス・シュミット、マティアス・ゲルネ、ディートリヒ・ヘンシェル、シュテファン・ゲンツら世界的リート歌手を育てている。

代表的録音:
バッハ 「マタイ受難曲」(K・リヒター) カンタータ(K・リヒター他)
シューベルト歌曲全集(G・ムーア) 歌曲集「冬の旅」(G・ムーア、J・デムスなどスタジオ録音だけで計7回)
シューマン歌曲全集(C・エッシェンバッハ)